第1章 イントロダクション

1.1 講義概要

  • 目的:本講義では,社会調査データの分析で用いる基礎的な多変量解析法について,その基本的な考え方と主要な計量モデルを解説する.重回帰分析を基本としながら、応用として一般化線形モデルのなかからロジスティック回帰分析を取り上げ解説する.あわせてRによる分析実習を行う.
  • 到達目標:多変量解析,とくに重回帰分析の原理を理解すること.Rを用いて基本的な分析ができるようになること.
  • 授業方式:講義方式.Rによる演習を行う.
  • キーワード:多変量解析,回帰分析,R言語

1.2 講義スケジュール

スタートアップと2回フレックスアワーズはオンライン授業(オンデマンド型)で,9月21日(月)に3本まとめて公開する.スタートアップは9月21日の週に,フレックスアワーズは各自の都合に合わせて10月19日(第6回)までに視聴すること.コアウィークスは対面授業(月曜2限,E-302)である.

なお,10月12日(月)は授業実施日ではない.

1.2.1 オンデマンド回(9月21日公開)

  1. 【スタートアップウィーク】イントロダクション:今後の学習の方向付けを行う.多変量解析の基本的アイデアといくつかの応用例を紹介し,分析手法のイメージを持つ.あわせて,各自の持ち込みPC上でR言語のセットアップを行う.
  2. 【フレックスアワーズ】記述統計の復習:基本統計量や相関係数など,記述統計に関する基本的な知識を振り返る.
  3. 【フレックスアワーズ】推測統計の復習:標本分布,母平均の推定・検定,t検定など基本的な推測統計の知識を振り返る.

1.2.2 対面回(月曜2限,E-302)

  1. 【コアウィークス①】9月28日 線形代数の基礎(1):多変量解析を理解する上で必要不可欠な線形代数を導入する.ベクトルの直交を理解することを目標とする.なお対面初回にあたるため,Rのセットアップが完了していない者への対応にも時間をあてる.
  2. 【コアウィークス②】10月5日 線形代数の基礎(2):引き続き線形代数の知識を導入する.行列演算と逆行列を理解することを目標とする.
  3. 【コアウィークス③】10月19日 単回帰分析(1):まず,記述統計レベルで単回帰分析を導入する.最小二乗法を説明し,どのように回帰係数,決定係数を導くかを解説する.また,共分散・相関係数との関連を説明する.
  4. 【コアウィークス④】10月26日 単回帰分析(2):確率モデルとしての単回帰モデルの仮定を説明し,回帰係数の標本分布を導く.
  5. 【コアウィークス⑤】11月2日 単回帰分析(3):確率モデルとしての単回帰モデルの仮定を説明し,回帰分析における推定・検定について説明する.
  6. 【コアウィークス⑥】11月9日 重回帰分析(1):記述統計レベルで重回帰分析を導入する.重回帰における最小二乗法を説明し,偏回帰係数,決定係数を導き,その意味について説明する.
  7. 【コアウィークス⑦】11月16日 重回帰分析(2):確率モデルとしての重回帰分析について解説する.重回帰分析における推定・検定について説明するとともに,多重共線性について解説する.
  8. 【コアウィークス⑧】11月23日 重回帰分析(3):ダミー変数,交互作用項を導入したモデルについて解説する.
  9. 【コアウィークス⑨】11月30日 ロジスティック回帰分析(1):線形回帰モデルを拡張した一般化線形モデルのアイデアを導入する.そのうえでベルヌイ分布(二項分布)を仮定するロジスティック回帰を導入する.
  10. 【コアウィークス⑩】12月7日 ロジスティック回帰分析(2):引き続き,ロジスティック回帰分析について解説する.とくに係数とオッズ比の関連について説明する.
  11. 【コアウィークス⑪】12月14日 分析実習(1):実習データを元に回帰分析をRで実行する.その際,自ら計算する場合と組み込み関数を使う場合を比較し,出力の読み方を学習する.あわせて最終リポートの分析を開始し,その日の進捗を提出する.
  12. 【コアウィークス⑫】12月21日 分析実習(2):ひきつづき実習データを元にロジスティック回帰分析をRで実行する.その際,自ら計算する場合と組み込み関数を使う場合を比較し,出力の読み方を学習する.最終リポートを完成させ,確認を受けたうえで提出する.

1.3 講義形式

  • 講義資料URL:https://aishidajt9.github.io/DataAnalysisApplication/
    • 授業期間中にも必要に応じて更新する
  • 参考図書:
    • 永田靖・棟近雅彦,2001,『多変量解析法入門』サイエンス社,1~5章
    • その他の参考図書は授業中に適宜紹介する
  • 授業形態:
    • スタートアップ,フレックス:オンライン授業(オンデマンド型)
    • コア:対面授業(各90分,月曜2限,E-302)
  • 成績評価:
    • 講義中の小課題50
    • 最終レポート50
  • その他注意点
    • データ分析(入門),データ分析(基礎)の既修を前提とする
    • BYODを前提とする(最新のWindows, macOSについて対応する,自分で対応できる場合はLinuxも可)
    • 授業中にノートをとること(物理ノートもしくはデジタルペンで記入する方式のデジタルノート).一部課題として提出してもらうので,必ずノートとペンを持参すること
    • 他の受講者の受講する権利を侵害する行為は厳禁.逸脱にはゼロトレランスで対応する.

1.4 デバイスのセットアップ

1.4.1 ローカルとクラウド

  • クラウド(OneDrive, Box, Dropbox)とローカルは別
  • Rスクリプトと関連ファイルはローカルで保存して実行する
  • ローカル上のフォルダ(ディレクトリ)やファイルにはディレクトリパス(番地)がある
    • 例:/Users/username/Documents/R/test.R (mac)
    • 例:C:/Users/username/Documents/R/test.R (win)
  • 【win】「ドキュメント」フォルダはOneDriveと同期されていることが多い.その場合パスはC:/Users/username/OneDrive/ドキュメント/...のようになる

1.4.2 Terminal

  • コマンドラインでPC操作をするときに必要になる
  • mac: cmd+spaceでSpotlightを呼び出し”terminal”と検索
  • win: アプリ検索で”terminal”と検索
  • ショートカットですぐに呼び出せるようにしておこう

1.4.3 RとRStudioのセットアップ

Rとは別にRStudioが必要である.必ずRを先に,RStudioを後にインストールすること.

  • R: https://cran.r-project.org/ (2026年9月現在の最新版はR 4.6.x)
    • win: “Download R for Windows” → “base” → “Download R-4.x.x for Windows”
    • mac: “Download R for macOS” → “arm64” と書かれた方(Appleシリコン用)
      • 2020年以前の古いMacの場合のみ “x86_64” を選ぶ.左上のアップルマーク →「このMacについて」→「チップ」欄で確認できる
  • RStudio: https://posit.co/download/rstudio-desktop/ → “DOWNLOAD RSTUDIO DESKTOP”
    • ページを開くと自分のOS用のインストーラが自動で選ばれる
  • 参考情報:

1.4.4 RStudioの設定

  • デフォルト・エンコーディングをUTF-8にする
    • Tools → Global options → Code → Saving → Default text encoding
  • 日本語で書かれたファイルを読み込むと文字化けしている可能性がある.その場合以下を試してみる.
    • File reopen with encoding -> CP932 or SHIFT-JISを選択
    • File -> reopen with encoding -> UTF-8を選択
  • 見た目を変える
    • Tools → Global options → Appearance
  • General → Basic → Save workspace to .RData on exitをNeverに

1.4.5 プロジェクトファイルの作成

  • ローカルのわかりやすい場所に,R作業用フォルダを作成する(フォルダ名は半角)
  • RStudioを立ち上げ,Project → New Project → Existing Directory → つくったフォルダを選択
  • 以降は,”フォルダ名.Rproj”ファイルをクリックして,Rセッションを始める
    • 前回開いていたファイルが記憶される
    • ディレクトリの設定をいちいちしなくてよい

1.4.6 試しにやってみよう

  • “test.R”と名前をつけて保存
5 + 3
5 - 3
5 / 3
5 ^ 3
5 * (10 - 3)
sqrt(4)

a <- 10
a
a / 2

## 組み込みデータ
cars

## スピードの度数分布
table(cars$speed)

## スピードのヒストグラム
hist(cars$speed)

1.4.7 tidyverseのインストール

  • モダンRに必須のパッケージ群のバンドル.データ操作,ヴィジュアライゼーション
  • コンソールで以下を実行する(引用符は半角)
install.packages("tidyverse")
  • 数分かかる.失敗する場合や極端に時間がかかる場合は次の「うまくいかないときは」を参照
library(tidyverse)

iris |>
  select(Sepal.Length, Sepal.Width, Species) |>
  ggplot(aes(x = Sepal.Length, y = Sepal.Width, color = Species)) +
  geom_point() +
  geom_smooth(method="lm")

1.4.8 うまくいかないときは

まずは自分で試す.どうしても解決しない場合は9月28日(第4回)の授業の冒頭で相談すること.そのままにして進めないこと.

  • install.packages()が失敗する・やたら時間がかかる
    • ソースからのコンパイルが走っている可能性がある.以下のようにバイナリ版を指定すると回避できることが多い
install.packages("tidyverse", type = "binary")
  • 【win】install.packages()が権限エラーなどで通らない
    • RStudioを右クリックして「管理者として実行」してから試す
    • ウイルス対策ソフトが書き込みをブロックしていることがある.一時停止して試す
    • 過去にも数名いた.解決しない場合は抱え込まずに相談すること
  • 日本語が文字化けする
    • File → Reopen with Encoding → UTF-8(それでもだめならCP932)を試す
  • どうしてもローカルで動かない場合
    • 一時的な保険としてGoogle Colab https://colab.research.google.com/ を使ってよい(「ランタイム」→「ランタイムのタイプを変更」→ R を選ぶ)
    • Colabはtidyverseが導入済みだが,セッションが切れると追加でインストールしたものは消える.必要なら毎回install.packages()から実行すること
    • ただしこの授業はローカルへのインストールを前提とする.保険はあくまで一時的なものと考え,早めに相談すること

1.5 本日の課題

  • test.RをLUNA課題から提出